
10月6日(月)
おかえり、ふるさとの宝物展
人吉城歴史館では令和2年7月の豪雨災害で被災した人吉・球磨地域の文化財を対象に、修復を終えてふるさとに戻った品々を展示する特別企画展が開催されています。この展示会は、歴史館が災害後再開して以来、実物資料を扱う初の大規模な展示のひとつとして位置づけられており、地域の人々にとって「失われたものを取り戻す」思いを共有する場ともなっています。
※撮影許可をとっています。『おかえり、ふるさとの宝物展』は撮影禁止となります。







修復を経て戻ってきた文化財たちを前にすると、時間や記憶が息を吹き返したような感覚を覚えました。被災の痛みを乗り越え、一つひとつ丁寧に甦らせた労力の重みが伝わってきて、ただ眺めるだけでは味わえない重層的な尊さが心に染みました。
青井阿蘇神社
青井阿蘇神社の楼門横には、複数の神社の模型がガラスケース内に丁寧に並べられているほか、昔ながらの郷土玩具「きじ馬」や「花手箱」といった地元の名物も一緒に展示されており、神社だけでなく地域の文化を複眼で楽しめる展示空間になっています。







ガラスケース越しに眺める展示でありながら、展示物の陰影や背景の光の加減が風景と同期するような雰囲気があって、「この場所を、もっと見ていたい」と思わせる穏やかな引力を感じました。まさに、参拝の途中で足を止めてじっくり見たい場所だと感じる、心落ち着く展示空間でした。
中川原公園
おくんち祭の神幸行列が立ち寄るための 御旅所(おたびしょ) 設営準備が始まっていました。祭礼当日には、神様を迎える場所として参拝列の休息・立ち寄りの場となります。


中川原公園で御旅所の設営準備が進んでいると知って、祭りがただ遠い予定ではなく、現実に近づいていることを感じました。神幸行列がここに立ち寄る「宿り場」として使われる場所が着々と整えられている光景は、祭りへの期待と重なり、心の奥で鼓動を高めるようです。
10月7日(火)
おかどめ幸福駅
くま川鉄道のおかどめ幸福駅の周りで、コスモスが咲き始めているのを見つけました。もう少しすれば、駅を囲むように一面のコスモス畑が広がる風景が見られそうです。




駅舎を背景に、赤やピンクの花びらが風に揺れる姿は、まるで駅そのものが季節を迎える準備をしているかのよう。もう少しすれば、駅を囲むように一面コスモス畑が広がって、訪れる人たちの心をそっと優しく迎えてくれそうです。
あさぎり町上西の風景
あさぎり町上西には、コスモスが一面に植えられている場所がありました。まだ咲き始めで、花そのものはあまり見られませんでしたが、これからの成長がとても楽しみな場所です。




まだ花は少なくても、その未来の風景が目に浮かびました。淡いつぼみの列が延々とつながり、これから咲き誇る日を待っているようで。今は静かな期待と愛おしさをたたえた場所。次に訪れるときには、赤やピンクの海の中を歩くような景色に会えるだろうと思うと、心がそっと弾みました。
10月8日(水)
おくんち祭
寅の刻菊祓
「寅の刻菊祓(とらのこくきくばらい)」は、10月8日の早朝、午前5時前に斎行される神事です。この儀式では、重陽の節句(別名「菊の節供」)にちなみ、白菊 を用いて殿舎や境内の神域、奉仕者、獅子頭、神幸式で使われる御旗や威儀物(道具類)などが祓い清められます。祓いの後には 三種の神楽 が奉奏され、祭礼を迎えるための神聖な場が整えられる時間とされています。






夜明け前の静寂が残る境内に立つと、まだ暗さの名残が空を包んでいて、祭りが始まる前の凛とした空気が胸に染みました。白菊を携えた神職や奉仕者の動きが慎ましく、一挙一動が祭礼の清浄さを感じさせて、時間がゆっくりと進むような感覚でした。闇と陽の境目で祓われる神域、そしてその後に奏される三種の神楽の音色が神社の木々に響いて、一体感と敬虔さが重なり合った場面でした。
献幣式
献幣式は「入魂式」とも呼ばれ、祭礼期間中の神事のひとつとして執り行われています。この式典は、午前10時30分から開始され、「国の平和・地域の繁栄・人々の幸福」を願う、最も格式高い神事の一つとされています。






祭礼期間を通じての祈りと願いがこの時刻にひとつに結実するようで、国の平和・地域の繁栄・人々の幸福を願う言葉が、ただの言葉ではなく力強い祈りに思えました。御神楽の音、風に揺らめく幟、そして祈りの場に集う人々との一体感。見守るだけでも心が引き締まり、祭りの核心に触れた瞬間を胸に刻むような思いでした。
みこし入魂式
子どもみこしおよび大人みこしの入魂式は、地域の氏子が担ぐ神輿に神霊を迎えて魂を宿す神事として斎行されます。




神輿に魂を込める瞬間、境内には静かな祈りと気高さが満ちていました。
子どもも大人も、一体となって神事に向き合うその姿に、地域の絆と信仰の重みを感じました。
この場に立ち会えたことは、忘れられない体験です。
露店準備
明日のおくんち祭のクライマックス、神幸行列の日に備えて、参道には露店の準備が整えられていました。


明日の神幸行列という大きな伝統行事を前にして、町全体がそわそわと期待を高めているような空気が伝わってきます。
球磨神楽奉納
球磨神楽は、10月8日の宵宮(前夜祭)に青井阿蘇神社で奉納される伝統的な神楽です。
奉納は夕刻からおよそ4時間にわたり、神楽殿で17番の演目が披露されます。
演目の中心は「採物舞(とりものまい)」で、剣・御幣・鈴などを用いる舞が主となり、お面(仮面)を使わない「直面(ひためん)」形式が基本です。
球磨神楽は、青井阿蘇神社を含む人吉・球磨地域43神社の祭礼で奉納され、地域全体で伝承されています。2013年(平成25年)には、国の重要無形民俗文化財に指定されました。












神楽の奉納という伝統が、ただ古く厳かなだけでなく、生きた文化として今も息づいていることが伝わってきます。宵宮の夜、神楽殿に灯りがともり、その場に漂う荘重な空気の中で、舞いが始まる瞬間の息遣いや拍動を思えば、心が静かに昂るような余韻を覚えます。
つぼん汁・球磨焼酎振舞い
球磨神楽の奉納時には、境内で つぼん汁 と 球磨焼酎振る舞い が行われます。
これは、祭りに訪れた参拝者や見物客に地域の酒文化を体験してもらい、おもてなしの一環とする趣旨が込められています。

幸福餅まき
球磨神楽奉納の後、「幸福餅まき(福餅まき)」が境内で行われ、たくさんの人々が“福”を手にして帰られます。


餅を拾って「福を受け取る」という行為には、参加者の期待や歓声、周囲との一体感がありました。その場での熱気や歓声、笑顔がとても印象に残っています。
10月9日(木)
おくんち祭
発輦祭
神幸行列の出発を告げる神事、「発輦祭(はつれんさい)」が、10月9日の朝、青井阿蘇神社で斎行されます。祭典奉仕者や行列供奉者(ぐぶしゃ)のお清めを行い、御神幸の道中安全を祈願する厳かな儀式です。この祭儀に続いて、御神輿前では郷土芸能の披露や神馬廻しなどの奉仕行事が行われ、神幸行列の出発準備が整えられます。












朝の肌寒さが残る境内に足を踏み入れると、空気がキリッと引き締まり、心がしゃんとするような緊張感がありました。神職・奉仕者・供奉者たちが整列し、祝詞が奏上され、玉串奉奠が静かに行われるその儀礼には、日常を忘れさせる厳粛な美しさを感じました。出発前の静寂の中に、地域の人々の思いと歴史がしっかり息づいている。そんな気持ちとともに、「神幸」に向けて動き始める祭りの始まりを、肌で感じられた貴重な体験でした。
神幸行列
10月9日、青井阿蘇神社のおくんち祭で最も華やかなクライマックスのひとつ、「神幸行列」が執り行われます。発輦祭での祝詞と祈願を経て、午前10時半、御神輿は静かに境内を出発。沿道には参拝者や見物客が集まり、秋の光と歓声に包まれながら壮麗な行列が街を練り歩きます。例年、約2,000人もの参加者がこの神幸行列に関わり、市街地は威厳と賑わいが共存する壮観な空間となります。




















風が通り抜け、秋の陽光がふわりと列に差し込む中で、人波と共に歩く時間には祝祭感と厳粛さが交互に胸を打ち、その場に立っている者として、「神さまと共に歩んでいる」ような、神事の一部になれたような気持ちになりました。神幸行列は、神社という根拠地から町へ神さまをお運びし、その帰路でまた神社へ還らせる「往復」の儀礼。この流れの中に、伝統と人々の営み、祈りと祝祭が折り重なっているのを、肌で感じられた体験でした。
中川原御旅所
神幸行列の巡行途中に設けられる御旅所(おたびしょ)が、今年は 中川原公園 にて復活しました。長らく設けられていなかったこの御旅所は、令和元年以来、6年ぶりの復活となります。御旅所は、神様をお迎えし、一時的にお休みいただく場所。行列の折り返し点や休憩所として機能し、参拝者・奉仕者・見物客が神事を間近に感じられる舞台となります。








中川原公園に設けられた御旅所は、神幸行列の休憩地という役割以上に、祭りの“間の時間”を味わえる空間でした。行列が到着してから出発するまでのひととき、列の緊張感から解放され、参加者・見物客ともに呼吸を整える時間が流れていたように感じました。
還幸祭
祭りのクライマックスを彩る儀式、還幸祭(かんこうさい)は、神幸行列が市内を練り歩いたのち、神様を再び御本社にお迎えする還御(かんぎょ)の儀礼です。この還幸祭は、祭礼全体を締めくくる意味を持ち、参拝者は神輿とともに歩む道を見守りながら、祭りの余韻と厳かな結びの時間を共有します。








還幸祭は、祭りの終盤にして、その場を締めくくる大切な時間。神様を町から神社へ「還す」その動きに、参加できたことを胸に刻みました。祈りと営みが交錯するその瞬間が、いつまでも心に残る体験です。
郷土芸能・民芸大会
おくんち祭の賑わいに彩りを添える「郷土芸能・民芸大会」が、神幸行列の後の夕方5時に青井阿蘇神社境内で開催されました。この大会には、人吉・球磨地域で活動する多様な芸能団体や地域住民が参加し、太鼓、踊り、詩吟、筝(琴)、舞踊といった伝統芸能が披露されました。










郷土芸能・民芸大会の舞台に、くまモンという熊本を象徴するキャラクターが加わったことで、伝統と親しみやすさが溶け合った瞬間になったなと感じました。太鼓の乾いた音、踊りの躍動、詩吟や琴の調べといった静と動の中に、くまモンの登場が“祭りらしい遊び心”をそっと加える役割を果たしていたように思います。
10月10日(金)
あさぎり町・かかしコンテスト
免田小学校の生徒が中心となり作る「かかしコンテスト」は、農業体験と連動する地域の暮らしを感じるイベントです。田植えや稲刈りの学習を経て、作物を守る象徴として、子どもたちがオリジナリティあふれるかかしを制作。線路沿いや町道沿いの田んぼに展示され、通行する人々を楽しませます。




黄金色の稲穂の中に、個性あふれるかかしたちが並んでいる光景が、秋の田園に温かい物語を添えていました。ひとつひとつのかかしには、子どもたちの思いや遊び心が込められていて、風にそよぐ姿を見ていると、その工夫と愛情が伝わってくるようでした。
人吉城跡ふるさと歴史の広場
明日の人吉・球磨で初開催の野外音楽フェス「Rural Act ’25」に向けて、準備が着々と進んでいました。


ステージ設営や音響機材、照明の配置などが少しずつ形を成していく会場には、まさに「始まりを待つ期待」が張りつめているようでした。
レストランカフェペンギン
レストランカフェペンギン は、地元食材を生かした洋食と温かな雰囲気が魅力の街のレストランカフェです。昭和60年創業の老舗で、一度閉店した後も地域の声に応えて再オープン。自家栽培の掛け干し米や無農薬野菜、錦町産のお茶など、可能な限り地産素材を用い、地下100mから汲み上げた水を使うなど、こだわりが随所に感じられます。




ハンバーグは口に入れた瞬間、ふんわりとした柔らかさと肉汁の旨みが広がって、「これぞハンバーグ」と唸るほど。デミグラスソースとの相性も抜群で、ご飯が進みます。ステーキは、噛むたびにジューシーな脂と肉の甘みが感じられ、噛み応えもありながらしっとりとした食感が印象的でした。
10月11日(土)
あさぎり駅
あさぎり駅に停車中の田園シンフォニーが、出発の時を静かに待っていました。
そう、今日から始まるのは 「レヱル・ロマネスクサミット in 人吉 2025」

特別な二日間がここから動き出します。
SL人吉
人吉駅で展示されているSL人吉のレールが延ばされている様子を見てきました。



動態保存に向けた準備の一歩なのか、展示空間が少しずつ広がっていく期待感を感じます。
Rural Act ’25
人吉で初開催となる野外音楽フェス Rural Act ’25 が人吉城跡・ふるさと歴史の広場を舞台に開かれました。このフェスは、令和2年7月の豪雨災害からの復興を願い、地域の人々と訪れる人たちが一体となる“再出発の一歩”として企画されたものです。
※熊本人吉まちの編集室として撮影許可済です






人吉城跡ふるさと歴史の広場で開催された Rural Act ’25 は、音楽が風と共に広がるひとときでした。復興への願いが込められたステージに、アーティストたちの熱い演奏が響き、観客と一体になれる時間が流れていました。
10月12日(日)
球磨焼酎オクトーバーフェスト・球磨川マルシェ
人吉市の中川原公園では「球磨焼酎オクトーバーフェスト」と「球磨川マルシェ」が同時開催されました。 会場には焼酎27蔵の飲み比べコーナーがずらりと並び、蔵元やバーテンダーから焼酎やカクテルのアドバイスが受けられるのも嬉しい体験でした。 また、飲酒できない方や子どもたちも、マルシェ出店や食ブースで気兼ねなく楽しむことができて、会場全体にあたたかな交流の空気が広がっていました。






焼酎27蔵が揃う豪華な飲み比べ、蔵元の方々から直接お話を聞けるのが嬉しかった。球磨川マルシェのブースも充実していて、飲めない人や子どもも楽しめる空間があったのが印象的。川沿いの風が心地よく、味わいと雰囲気の余韻をゆっくり味わえるイベントでした。
道の駅錦「ミニアジアンフェア」
このフェアには、地元・錦町を代表する韓国料理店 市房食堂 が出店し、店頭販売を行いました。加えて、台湾カステラ・タピオカ・にんにくなどのアジア系食材やスイーツも並び、ミニながら多彩な味わいが楽しめる構成となっていました。










韓国料理の老舗 市房食堂 さんが串焼きビビンバを店頭販売していて、一口食べただけでその本格的な味に驚きました。台湾カステラやタピオカ、にんにく、キムチなど、普段なじみのないアジアの食材・スイーツも色とりどりに並んでいて、見て回るだけで楽しかったです。ミニ規模とはいえ、直売所の親しみやすさが残る空間で、“アジアの味めぐり”を気軽にできるのはいい企画だなと思いました。風景の中に異国の風を感じられた一日でした。
HAPPY PLACE MARKET
総勢65店舗が出店し、物販、ワークショップ、フード、キッチンカーなど、多彩なジャンルが揃うマルシェとなりました。昨年より10店舗も増えただけあって、会場は例年以上の賑わいを見せていました。








芝生広場にずらりと並ぶ65店舗の出店は、にぎわいと発見に満ちていて、歩くだけでワクワクするマルシェでした。物販、ワークショップ、フード、キッチンカーなど、ジャンルが幅広く、老若男女、来場者みんながそれぞれの楽しみを見つけられる構成になっていたように感じます。
