湯前町の高台、旧湯前城跡に鎮座する「市房山神宮 里宮神社」。
霊峰・市房山を御神体とする市房山神宮の下宮として、古くから人々の信仰を集めてきた神社です。縁結びの神様としても知られ、静かな境内には、市房山信仰を今に伝える落ち着いた空気が流れています。
市房山の神様を里から拝む場所として受け継がれてきた里宮神社には、市房山信仰、湯前城跡の歴史、地域の祭り、軽巡洋艦「球磨」とのつながりなど、湯前町ならではの物語が重なっています。

市房山神宮 里宮神社とは
市房山神宮 里宮神社は、熊本県球磨郡湯前町にある神社です。
市房山神宮は、霊峰・市房山を御神体として、山中の本宮、山麓の一の宮神社・中宮、そして湯前町の里宮神社・下宮の三社で構成されています。
本宮は市房山の中腹にあり、昔から参拝が容易ではありませんでした。そのため、市房山の神様を里から拝む場所として、この地に里宮が置かれました。
現在の里宮神社は、昭和9年に再建された神社で、湯前町の高台にある旧湯前城跡に立っています。

旧湯前城跡に立つ、歴史ある神社
里宮神社の境内は、かつての湯前城跡にあたります。
市房山神宮の別当寺であった普門寺が、湯前城の旧跡に再興され、そこに市房山神宮の遥拝所が設けられたことで、人々は市房山をより身近に拝むことができるようになりました。
その後、明治時代に普門寺は廃寺となり、火災によって遥拝所も失われましたが、昭和に入り里宮建立の機運が高まり、現在の里宮神社が完成しました。
神社としての美しさだけでなく、市房山信仰、神仏習合、湯前城跡の歴史が重なる場所としても、とても見応えのある神社です。

縁結びの神様として親しまれる里宮神社
里宮神社は、縁結びの神様としても知られています。
市房山神宮は、古くから良縁を願う人々の信仰を集めてきました。昔は「お嶽参り」の日に、人吉球磨の若い男女や縁を求める人々が市房山神宮へ参拝したと伝えられています。
縁結びと聞くと恋愛を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ここでいう「ご縁」は、人との出会い、仕事との出会い、地域とのつながり、自分にとって大切なものとの巡り合わせにも通じるものです。
静かな境内で手を合わせると、市房山に見守られているような、穏やかな気持ちになります。

御祭神と御利益
市房山神宮は、霊峰・市房山を神体とする神社で、本宮・中宮・下宮の三社で構成されています。湯前町の里宮神社はその下宮にあたり、市房山の神様を里から拝む場所として受け継がれてきました。
現地の由緒書きには、市房山神宮が「市房大権現」として信仰され、霧島神宮と同体とされる旨が記されています。御祭神は、天津日高日子穂能邇邇芸命、天津日高日子穂穂手見命、木之花之佐久夜毘売命、火照命、火須勢理命、豊玉比売命の六柱。天孫降臨や海幸山幸の神話にゆかりの深い神々が祀られています。
里宮神社は、縁結びの神様として名高く、良縁や恋愛成就を願う方にも親しまれています。また、市房山神宮は武運長久の神としても伝えられており、後述の軽巡洋艦「球磨」記念館や湯前城跡に残る旧日本陸軍の陣地跡とあわせて、信仰と歴史が重なる場所でもあります。

境内の見どころ
里宮神社の境内には、参拝とあわせて見ておきたい場所がいくつもあります。
鳥居と参道
まず目に入るのが、神社へと続く鳥居と参道です。
高台にある神社らしく、境内へ向かう道にはどこか凛とした空気が流れています。季節によって木々の表情も変わり、春の新緑、秋の紅葉の時期には、また違った美しさを楽しめます。

拝殿と御神殿
参道を進むと、里宮神社の中心となる拝殿があります。
市房山の神様を里から拝む場所として、多くの人々が手を合わせてきた場所です。観光で訪れる場合も、まずは静かに参拝し、この場所が受け継いできた信仰に思いを寄せてみてください。

昇り龍・降り龍のチェンソーアート
境内には、チェンソーアートによる龍の彫刻もあります。
神木杉を使って彫られた昇り龍と降り龍は、高さもあり、近くで見ると迫力があります。神社の伝統的な雰囲気の中に、現代のアートが息づいているのも里宮神社ならではの魅力です。


軽巡洋艦「球磨」とのつながり
里宮神社には、軽巡洋艦「球磨」とのつながりもあります。
市房山神宮の神様は、かつて軽巡洋艦「球磨」の艦内神社にまつられていました。その縁から、境内には軽巡洋艦球磨記念館が設けられ、当時の資料などを通して、軽巡洋艦「球磨」やその時代について知ることができます。
神社参拝だけでなく、地域の歴史や戦争の記憶に触れる場所としても、里宮神社は大切な意味を持っています。


湯前城跡に残る旧日本陸軍の陣地跡
里宮神社が鎮座する湯前城跡周辺には、第二次世界大戦末期に旧日本陸軍が本土決戦に備えて築いたとされる陣地跡も残されています。
湯前城跡は、もともと戦国時代の中世城跡としての歴史を持つ場所です。その同じ台地に、近代の戦争遺構も重なっていることから、里宮神社周辺は信仰・城跡・戦争の記憶が重なる場所といえます。
陣地跡では、銃座跡や防空監視哨の跡などが確認されており、里宮神社境内の軽巡洋艦「球磨」記念館とあわせて、戦争を物語る貴重な遺構として紹介されています。


季節ごとに楽しめる境内
里宮神社は、季節ごとに違った表情を見せてくれる神社です。
春は新緑、秋は紅葉が美しく、境内の木々が神社の雰囲気をより引き立てます。特に秋の大祭の時期には、紅葉と祭りの空気が重なり、里宮神社らしい風景に出会えるかもしれません。
静かに参拝したい方は普段の日に、地域の伝統芸能や祭りの雰囲気を感じたい方は春や秋の大祭に合わせて訪れるのもおすすめです。
元旦祭
新しい一年のはじまりには、多くの人が里宮神社へ参拝に訪れます。
湯前町の高台にある静かな境内で、家族の健康や良縁、仕事や暮らしのご縁を願う時間を過ごせます。


3月後半 桃
3月後半になると、境内では桃の花が春の訪れを知らせてくれます。
神社の落ち着いた雰囲気に、やわらかな花の色が重なり、季節の移ろいを感じられる風景が広がります。


4月 新緑
4月には、境内の木々が若葉に包まれ、新緑の美しい季節を迎えます。
参道や拝殿のまわりにも明るい緑が広がり、静かに歩くだけでも心が整うような時間を過ごせます。


春季例大祭
春には、里宮神社で春季例大祭が行われます。
市房山信仰とともに受け継がれてきた大切な神事で、境内には普段とはまた違う厳かな空気が流れます。春を迎える節目に、地域の信仰を感じられる行事です。


6月 紫陽花
6月になると、境内では紫陽花が季節を彩ります。
雨の季節に咲く紫陽花は、しっとりとした神社の雰囲気によく合い、初夏ならではの落ち着いた美しさを楽しめます。


7月 夏越祭
7月には、夏越祭が行われます。
半年の間にたまった罪やけがれを祓い、残り半年を健やかに過ごせるよう願う神事です。夏を迎える前に、心身を整える大切な行事として受け継がれています。


8月19日 バイク安全祈願祭
8月19日には、バイク安全祈願祭が行われます。
バイクに乗る方々が交通安全や旅の無事を願って参拝する行事で、境内にバイクが並ぶ光景は、普段の里宮神社とはまた違った雰囲気を感じさせてくれます。


11月15日 秋季例大祭
11月15日には、秋季例大祭が行われます。
神事や奉納行事を通して、五穀豊穣や日々の暮らしへの感謝を捧げる大切な祭りです。地域に受け継がれてきた伝統芸能にふれられる機会でもあり、里宮神社と地域のつながりを感じられます。


御夜祭
秋季例大祭の前夜には、御夜祭が行われます。
夜の境内に灯りがともり、神事や奉納行事が行われる時間は、昼間とは違う厳かさがあります。静かな夜の神社に響く音や祈りが、里宮神社ならではの雰囲気をつくり出します。


本祭
本祭では、地域の人々が集い、神事や奉納行事が行われます。
参拝者や関係者で境内がにぎわい、里宮神社が地域の信仰と文化を受け継ぐ大切な場所であることを感じられる一日です。


11月後半 紅葉
11月後半になると、里宮神社の境内は紅葉の美しい季節を迎えます。
赤や黄色に色づいた木々が拝殿や参道を彩り、秋の里宮神社ならではの風景が広がります。静かな参拝とあわせて、湯前町の秋を感じられる時期です。


参拝前に知っておきたいこと
市房山神宮 里宮神社は、湯前町の高台、旧湯前城跡に鎮座する神社です。
市房山神宮の下宮として、市房山の神様を里から拝む場所として受け継がれてきました。縁結びの神様としても親しまれており、境内には拝殿や参道、昇り龍・降り龍のチェンソーアート、軽巡洋艦「球磨」記念館など、参拝とあわせて見ておきたい場所があります。
また、里宮神社が鎮座する湯前城跡周辺には、旧日本陸軍の陣地跡も残されています。信仰、城跡、戦争の記憶が重なる場所として、湯前町の歴史を感じられる神社です。
【名称】
市房山神宮 里宮神社
【所在地】
熊本県球磨郡湯前町3280-1
【御祭神】
天津日高日子穂能邇邇芸命
天津日高日子穂穂手見命
木之花之佐久夜毘売命
火照命
火須勢理命
豊玉比売命
【御利益】
縁結び
良縁祈願
恋愛成就
武運長久
交通安全
地域の安寧
【由緒の特徴】
市房山神宮の下宮
霊峰・市房山を神体とする神社
市房山の神様を里から拝む遥拝所
霧島神宮と同体とされる旨が由緒書きに記されている神社
旧湯前城跡に鎮座する神社
【見どころ】
鳥居
参道
拝殿
昇り龍・降り龍のチェンソーアート
軽巡洋艦「球磨」記念館
湯前城跡に残る旧日本陸軍の陣地跡
春季例大祭・秋季例大祭
季節の花や紅葉
【おすすめの時期】
初詣の時期
桃の花が咲く3月後半
新緑が美しい4月
紫陽花が咲く6月
夏越祭が行われる7月
バイク安全祈願祭が行われる8月19日
秋季例大祭が行われる11月15日
紅葉が美しい11月後半
※祭りや行事の日程、記念館の見学、授与品などは変更になる場合があります。お出かけ前に最新情報をご確認ください。
まとめ
市房山神宮 里宮神社は、湯前町の高台、旧湯前城跡に鎮座する、市房山信仰ゆかりの神社です。
市房山の神様を里から拝む下宮として受け継がれ、縁結びの神様としても親しまれてきました。
境内には、歴史を感じる鳥居や参道、拝殿、昇り龍・降り龍のチェンソーアート、軽巡洋艦「球磨」記念館などがあり、参拝とあわせて湯前町の歴史にふれることができます。
また、里宮神社が鎮座する湯前城跡周辺には、旧日本陸軍の陣地跡も残されており、信仰、城跡、戦争の記憶が重なる場所でもあります。
春と秋には例大祭が行われ、夏越祭やバイク安全祈願祭、紅葉の時期など、季節ごとに違った表情を見せてくれるのも里宮神社の魅力です。
湯前町を訪れた際には、ぜひ静かに手を合わせ、里宮神社に流れる歴史と信仰の空気を感じてみてください。
| 所在地 | 熊本県球磨郡湯前町3280-1 |
|---|---|
| 問合せ先 | 市房山神宮 里宮神社 |
| 電話番号 | 0966-43-3032 |
| 駐車場 | あり(無料・約50台) |
| 最寄り駅(目安) | くま川鉄道「湯前駅」(徒歩約20分/車で約3〜5分の目安) |
| 最寄りバス停 | 「下城[人吉]」(徒歩約4分の目安) |
